東日本入国管理センターでの支援活動について

<牛久の友の会>Friend’s of USHIKU

BLOG:https://foushiku.blogspot.jp/
設立:2014年1月
代表:マイケル・コールマン神父
活動内容:東日本入国管理センター被収容者への面会・差入れ
外国人生活困窮者支援(フードバンク食料支援など)
経緯
マイケル神父が牛久入管の被収容者への支援活動を開始したのは、2003年から、つくば教会(4年)、土浦教会(7年)、取手教会(5年)となり、かぞえて16年となります。
わたしたちは、ほぼ毎週火曜日に牛久入管に行き、面会・差入れ活動をしています。
また、フードバンク茨城と提携した外国人生活困窮者への食糧支援。
そして、生活支援などをしています。

牛久友の会 マイケル・コールマン神父

東日本入国管理センター /East Japan Immigration Center(牛久入管 /USHIKU Detention Center)での支援活動について

  1. かれらはどうして収容されたのか
  2. かれらはどのような生活をしているのか
  3. そこには大きな医療問題 /Medical problemsがある
  4. わたしたちは何をしているのか
  5. 活動で感じていること
1.かれらはどうして収容されたのか

被収容者 /Detaineeには3つの形態があります。
①自国の政治的・宗教的混乱により生存権を脅かされたり迫害されたりして日本に逃れ成田空港で難民申請 /Refugee applicationをしたが入国を拒否され収容される。
②観光ビザや研修生として日本に来て、そのまま逃亡しオーバースティ /Overstayとなり見つかって拘束され収容される。
③在留資格があったが罪を犯して刑務所で服役した後、自動的に在留資格がなくなったため収容される。
などです。また、在留カードの更新を忘れてオーバースティになった人たちも多くいます。
日本は国際人権条約 /International Human Rights Conventionに批准 /Ratificationしていますが、難民認定率 /Fixed rate of refugeesは0.2%です。
諸外国では認められる難民認定が日本ではほとんど認められません。「日本に来なければよかった」と多くの被収容者は話します。日本はとても面倒で難しい国だそうです。

2.かれらはどのような生活をしているのか

6畳ほどの居室に国籍が異なる4・5人で生活し、15時間ほど居室内に拘束される。もちろん言語、習慣や宗教が異なります。また、窓にはシールが貼り付けてあり外の様子を見ることができない。サッカーやバレーなどの運動時間は、着替えの時間を差し引くと30分弱である。電話をするためには国際テレホンカード(プリペイド)が必要だが、かれらはお金をもっていない。洗剤・石鹸・歯磨き粉・歯ブラシなどの生活衛生用品もない。そして、野菜が極端に少ない食事は便秘をひきおこし体調をくるわせます。仮放免許可申請 /Application for Provisional Releaseをしても3ヶ月以上もおとさたなしで待たされますし、また申請が却下されてもその理由を教えてもらえませんので、拒食症 /anorexiaになるひともいます。このような状況の中で彼らはストレスにより疲弊 /Exhaustionし、暴力的または精神病的になり、健康を害していきます。長期の被収容者たちの多くは、ほとんど病気になります。

3.そこには大きな医療問題がある

昨年の4月から常勤医 /Full-time doctorが配置されましたが、毎日ではないので状況は変わっていません。
被収容者が身体の痛みや苦しみを訴えると、まず処遇職員 /Treatment staffが対応して薬を出しますが、それは常備薬 /Conventional medicineとして精神安定剤・睡眠剤・痛み止めだけです。すぐに医師に診察してもらえません。申請書を書いて何日も何ヶ月も待たされます。重篤 /Seriousな被収容者は外部病院で検査・診察を受けることができますが、手錠・腰縄 /Handcuffs, waistline付きで病院からも敬遠されます。事例を3つ紹介します。

①ペルー人女性は歯がとても痛かったが、何ヶ月も診てもらえず、外部の病院での1回の診療で、前歯6本を同時に抜かれた。入れ歯をするため高額な治療費も請求された。

②インド人男性は運動して足首を骨折した。運悪く金曜日の夕方で休みに入るので、なにもしないで月曜日まで待たされた。そのあいだ自分のシャツをひきさいて固定していた。

③カメルーン人男性は糖尿病 /Diabetesがありましたが、隔離された部屋で、ひっそりと亡くなっていました。

・・・その他数え上げたらきりがありません。

4.わたしたちは何をしているのか

◎さしいれ
被収容者からの手紙がたくさん届きます。かれらは生活衛生用品や文房具やテレホンカードそして運動靴などを要求します。
自傷防止 /Self-damage preventionのため、ガラスや金属製の容器のものは差し入れできませんし、靴やズボンの紐も60cm以上のものはとりはずさなければなりません。差し入れ品パッケージの標記は日本語か英語だけです。
この前、中国語で書かれていた石鹸は不許可となりました。そして、それらのものを準備してほぼ毎週火曜日の面会の前に差し入れをします。

◎面会
面会は30分以内です。ここでの共通語は日本語です。かれらからいろいろな話を聞きます。そのなかで特に印象に残ったものを紹介します。

あるバングラデシュ人は、「短期滞在ビザで日本に来ましたがそのままオーバーステイでつかまりました。そして、難民申請をしました。 わたしたちはとても平和な日本にあこがれています。 母国ではいつも死の危険にさらされていますので、帰りたくありません。」。

ひとりのコロンビア人は「長く収容されると、何もできない、外も見えない、運動も満足にできない、などのストレスで、ある人は暴力的になり、ある人は頭がおかしくなります。 でなければ、病気で廃人 /Dead manになってしまいます。」。

面会は刑務所と同じアクリルガラス越しでおこなわれます。狭い部屋の両側に二つの折りたたみ椅子が向かい合って置かれています。かれらは居室では何もすることができず、同じ部屋のひとたちと同じ話ばかりしているので、ときどきわたしたちと話しをすることはストレス解消になるようです。

5.活動で感じていること

◎被収容者の状況
諸外国の収容施設と比べると、日本の入管施設はとても悲惨 /Miseryです。
牛久ではベトナム人の死亡事件いらい規制や監視がとてもきびしくなりプライバシーが侵害され、被収容者どうしの争いも多くなったようです。
処遇改善 /Treatment improvementをもとめて、品川・名古屋入管で被収容者のハンガーストライキがありました。
牛久入管ではリーダーが他の収容施設に移送され、未遂となりました。かれらのほとんどは仮放免許可を申請しています。若いかれらが長期に収容され、また就労禁止 /No work条件付きで被仮放免者として社会の底辺に押しつぶされ、病気をかかえながら貴重な人生を無駄に過ごすことのないことを切に願います。

◎行政 Administration/等の課題
おおくのひとたちは、牛久に入管収容施設があることを知りませんし、被仮放免者たちについてはその存在すら知りません。
わたしたちはこれらのことにつよく関心を持ちつづけ、情報を発信しつづける必要があります。
そのことにより、被仮放免者を含めた非正規滞在者 /Non-regular stayerや被収容者たちが、日本で安心して生活していけるように、各行政機関が規則等を策定したり運用を変えたりして機能していくことをつよく希望します。

◎さいごに
牛久入管での面会・さしいれ活動、そして、そこから仮放免された人たちの生活支援活動をとおして、日本に来て<認定されない難民>として生きて(い)いかざるをえないかれらに、私たち一人一人が、言葉をかけ・あたたかく見守り、手を差し伸べることがとても大切なことだと感じました。

 

≪参考≫

*出入国管理及び難民認定法(第54条第2項)
入国者収容所長又は主任審査官は,前項の請求により又は職権で,法務省令で定めるところにより,収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格,資産等を考慮して,300万円を超えない範囲内で法務省令の定める額の保証金を納付させ,かつ,住所及び行動範囲の制限,呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して,その者を仮放免することができる。

 *2012年7月9日(月)在留カードの導入がはじまりました。(法務省 入国管理局ホームページより)
新しい在留管理制度の導入に伴い,在留資格の取消し事由,退去強制事由,罰則が設けられます。不法就労助長罪については,被雇用者が不法就労活動をしていることを雇用主が知らないことに過失があったときも処罰を免れないこととなります。

*入国管理局
Q&A「Q29仮放免中に働くことはできますか。」
A 退去強制令書が発付されている方については,我が国における在留が認められず退去強制されることとなったものであり,送還までの身柄の確保と我が国における在留活動を禁止する必要から,入国者収容所又は地方入国管理官署の収容場に収容しているものです。仮放免許可により身柄の拘束が一時的に解かれた場合であっても,退去強制令書が発付されていることに変わりはありませんので,稼働することはできません。

*仮放免期間中の就労について
被仮放免者には、仮放免許可書が交付されます。仮放免許可書の裏面に「職業又は報酬を受ける活動に従事できない。」と条件が付されている場合には、就労することができません。また、仮放免許可書にこの条件が付されていない場合であっても、就労可能な在留カードを所持している人を除き、就労することはできません。

*仮放免中の就労禁止訴訟
水戸地方裁判所で、「就労禁止条件は生存権を侵害しているので憲法違反」として東京弁護士会が訴訟しています。現在までに第4回口頭弁論(2017.10.27)がおこなわれましたが、最終的には敗訴となりました。在留資格のない外国人には基本的人権(生活権等)が認められません。

東日本入国管理センター牛久収容施設

被収容者が書いたスケッチ

投稿:加藤健司(土浦教会)2019年7月